バイタルサインの一つである血圧は、正常値を超える高血圧の場合さまざまな問題が潜んでいる可能性があります。心臓疾患や腎疾患、肥満、塩分の過剰摂取など、数々の要因が高血圧につながります。血圧の変動は季節も関係するといわれており、夏場では低く、冬場では血圧が上昇する傾向です。降圧剤を服用している場合、冬場には若干血圧が高かったけど夏場になったら落ち着いているというケースもあるようです。
なかでも、普段は正常値でも病院や介護施設などで測定するときに限って異常値を示す白衣高血圧というものがあります。病院や介護施設に到着するまでに立ったり歩いたりするために、到着後に測定すると正常値よりも高くなりがちになることも挙げられます。また、改めてバイタルチェックをされることへの緊張から、交感神経が優位になり血圧が上がってしまうともいわれています。だからといって、白衣高血圧は安心とは限りません。白衣高血圧になるのはやはり高齢者に多く、何らかのリスクが隠れている可能性があるからです。
白衣高血圧は、一時的な高血圧だけでは済まずにその後慢性的な高血圧に移行する可能性もあることが分かっています。もしも高齢者が自宅では正常値だけど介護施設では高くなるということがあっても、白衣高血圧だと断定して安心するのは早いかもしれません。その旨も看護師や他のスタッフにしっかりと報告し、バイタルチェック時にも自宅での様子を聞き、小さな変化も逃さないように努めることが肝心です。